株主の皆様へ

新年ご挨拶

新年、明けましておめでとうございます。
2020年の年頭に当たり、ご挨拶を申し上げます。

マニラ首都圏での取り組み

 当社グループでは、2018年に引き続き、マニラ首都圏地域にある商業地域での法人向けインターネットサービスと、首都圏地域内に敷設した通信設備を、競合する通信事業者に長期リースをする通信設備のシェアリング事業を推進してまいりました。
 昨年6月にPRをいたしました高架鉄道MRT-3に回線を敷設する工事も、年末までに終了いたしました。このMRT-3は、フィリピン一の大都会であるMakatiを中心に、南北に主要商業地域を結び、終点で郊外行きのバスセンターで接続しているもので、東南アジア有数の混雑している路線と言われております。
 そして、この鉄道用地は、当社の法人顧客向けのインターネット接続サービスだけでなく、ケーブルテレビ事業者のネットワークの光化や携帯電話事業者の基地局の設置など多様な目的に活用できます。当社グループでは、通信設備を設置するための権利を包括的に取得し、各通信事業者のニーズに沿った通信設備を設置、あるいは設置場所をリースしてまいります。

 このような通信設備のシェアリングは、通信事業者が共同で建設・運用するコンソーシアムのようなものから、他の通信事業者に貸し出すことを目的に通信設備を建設する事業者が運営するものまでいろいろありますが、タワーと呼ばれる携帯電話事業者向けの基地局設置場所(Cell Tower) を除くと、フィリピンでは通信設備のシェアリングは一般的ではありません。これは資本力のある事業者が独自に構築して、他の事業者との接続も最低限に絞る方が、プレイヤーが減って大手が優位を保てるからとも言われております。
 なおタワー(Cell Tower)は、世界的にみても不動産や太陽光発電など長期で安定した投資先を求める大きな資金が長年直接投資してきた利回り視点のビジネスで、資本力勝負のビジネスであるといえることや、他国の同業者が参入しており携帯電話事業者側が優位となってきています。ただ通信インフラへの投資機会はこれだけではなく、東南アジアでは、さまざまな通信設備のシェアリングで、実績を上げる企業が出てきております。
 例えばカンボジア・ミャンマーなどの東南アジアでは、携帯電話の基地局とハブとなる拠点を結ぶ光回線を建設して、携帯電話事業者に貸出す事業者が伸長しており、同様の事業を行っているマレーシアの企業は、それを全国に広げるだけでなく、国際海底ケーブルにも広げております。このような東南アジアの流れを見ますと、当社グループも、他の通信事業者の需要も見込める都心部の回線設備(メトロファイバー)をまず整備し、積極的に他の事業者に貸し出すことが、新興国での通信事業の効率的な運営方法であると考えております。

 当社グループでは、主要幹線道路に回線を敷設するための共同プロジェクトにも参加しており、そうした回線が完成すると、昨年6月に提示しました8の字を含めた安定した通信ネットワークとなりますが、当社は積極的に他の通信事業者に長期リースを行います。今後は、第三の携帯キャリアのネットワーク敷設、5Gの普及に伴う回線需要の高まることが見込まれますので、そうした収益機会に対応していく計画です。
 またこうした都心部の光回線のニーズは、通信事業者だけでなく、セキュリティの観点からなおクローズドのネットワークを構築している金融機関や航空会社にもあります。
 年末にフィリピン航空との間で支店と予約システムのホストコンピューターを接続するためのネットワークを構築することについてPRを出しましたが、システムの安定性の観点からより多くのバックアップルートを持ちたいということで、参入の機会があると考えております。

5G

 昨年当社グループでは、5Gの周波数帯を複数申請しておりましたが、いわゆるミリ波と呼ばれる周波数帯について、昨年6月に周波数帯の割当を受けております。この周波数帯は、低遅延・同時接続数などに優れた特性を持つもので、自動運転など5Gを使って行われることが期待されるサービスを実現するための基盤となるものです。
 日本でも大手通信事業者が割当を受けており、米国ではこのミリ波で実用化が進んでいますが、電波が届く距離が短く、障害物に対して電波が弱いといった問題もあり、日本ではローカル5Gでの活用の議論が中心となっております。
 当社グループでは都心部に高密度に基地局を設置することで、先進サービスに親和性をもつ5G基盤の整備するという方向性を引き続き検討しております。またローカル5Gが想定している屋内での活用について現在検討しております。しかし中国や韓国の5G普及の様子をみると、現在申請中の周波数の割当を待って、低コストでかつ大手携帯電話事業者と同様の規格で5G基盤の整備するほうが、より広範な可能性を追求できるものと考えております。
 従いまして、本年は複数の周波数帯を取ることを前提に、実用化に向けた動きを検討してまいります。

マニラ首都圏地域外での取り組み

当社グループでは、昨年7月にミンダナオ島にあるケーブルテレビ事業者に集まっていただき、ミンダナオ島の各地と中心都市ダバオとを結ぶ回線整備を提携して行い、ダバオからグアムに接続するルートを持つことで合意いたしました。

 当社グループの免許で島内の回線を持つことになりますが、当社グループが直接利用することはなく、CATV事業者に利用していただく、シェアリングのサービスとなります。
 地方都市の都市間の回線は大手2通信事業者しか保有せず、地域のCATV事業者はそのユーザー向けに提供しているインターネット接続サービスのトラフィックを大手2社に渡す以外に方法がなかったのですが、当社グループの回線を共同で敷設することで、ダバオからの海底ケーブルに直接つながり、大手2社のサービスの安定性に影響を受けなくなります。地方都市と海外を結ぶルートの安定性には問題があると指摘されているところであり、当社グループで提案した新しい海外へ接続するルートは、多くのCATV事業者に評価を受けております。現在10社ほどのCATV事業者と当社グループが回線の敷設を行っており、2月頃から国内回線が順次開通する見込みです。

今後の計画

 当社グループのフィリピン通信事業は、局地的に収益が見込める通信サービスに積極的に投資を行うことを方針としております。エンドユーザーからの長期的な売上により回収する従来の通信事業者のモデルは採用しつつも、期待できる期間収益は低いものの、広告費や販売促進費・回収の手間などがかからず、収益が読みやすい通信事業者に提供して回収するモデルも併用してまいります。

 マニラ首都圏地域では、他の通信事業者の需要も見込める商業地域間を結ぶ回線設備、都市内部の回線設備に投資を行ってまいります。
 現在法人向けインターネット接続サービスを提供しているマカティ・オルティガスだけでなく、ボニファシオグローバルシティでの回線敷設の権利を昨年12月に取得いたしました。

 地方では、ミンダナオ島内の回線整備だけでなく、他の島での回線整備も検討しております。
 5Gについても、自社のブロードバンドサービスによる提供を中心に考えてはおりますが、他の通信事業者との基地局のシェアリングにつながるモデルの構築を検討しております。

フィリピンの通信事業の可能性

 NTT東日本・西日本殿がもつ広範かつ安定した固定通信ネットワーク、携帯電話事業者3社の人口カバー率は99%以上と、日本の通信環境は非常に優れております。日本で通信基盤の整備で新興事業者が収益を上げるというのは非常に厳しいというのが現状でありますが、新興国では通信設備の整備状況は十分とは言えず、大手通信事業者がカバーできていない局地的な通信設備・サービスのニーズをみたして、収益を上げることは可能であると考えております。

 ところでフィリピンの最大の外貨獲得源は、長い間、海外に出稼ぎに行った方の仕送りでした。海外で働く方が、給料が高いということもありますが、外資系の製造業の進出が少なかったため、十分な雇用機会がないことのほうが大きな理由でした。
 そうした中で、インターネットの発達で、国際電話を使わなくても音声のやり取りができるようになりました。マニラを中心に、英語のわかる人材を集めて、コールセンター業務を移す動きが、英語圏の企業で始まり、今やフィリピンの外貨獲得源は、コールセンター業務の業務委託(BPO)と出稼ぎが並ぶまでになりました。リーマンショックで、一層英語圏の国から、マニラにコールセンター業務やバックオフィス業務が移管し、その業務の移管がフィリピンの高い経済成長の要因となっております。
 ただこのBPOのサービスは、アフリカや南アジアの、英語が公用語の国でももちろん提供できるので、国家間での競争の問題が既に生じておりますし、マニラはコールセンター業務につくのに必要な英語のスキルをもつスタッフが、既に不足しているという問題もあります。
 そのためコールセンターの地方都市への展開が考えられるわけですが、競争が十分でないことからくる通信料金の高さだけでなく、通信回線が安定しない地域も多く、コールセンター側はスタッフをそろえて電話を受けられるようにしていても、通信ネットワーク側の問題で、コールセンターが止まったりすることがあります。

 こうしたこともあり、地方都市の事業者は、通信コストが高い割には、不安定な状況が理由になって、委託先との契約条件が良くならなず、インターネットの普及による恩恵は、マニラでは受けているが、地方ではまだまだ受けられていないといえます。よって地方都市は、コールセンターなどのBPOが安定して事業をできる通信基盤を整備すれば、雇用の拡大と所得水準の向上につながり、地域経済をより成長させることができるものと考えております。 
 BPOが増えることでマニラ同様、所得水準の向上による消費の活発化などで地方経済が活性化するだけでなく、BPOの需要だけでなく、所得の向上による個人の通信需要も拡大し収益機会は拡大するものとみております。
 当社グループでは、より安定した通信サービスの提供に向けた通信設備を地方で構築することを大きな方針としており、現在いくつかの可能性を検討しております。

視察旅行

 昨年7月に当社では、主に株主の方を対象としまして、マニラ首都圏地域にある当社事業所を見学いただく視察旅行を実施いたしました。
 当社が事業を行っておりますフィリピンの市場環境を体感していただき、改めて当社のフィリピンでの通信事業についてご説明させていただくことを目的としております。
 本年の視察旅行につきましては、現在調整しておりますので、日程など決まりましたら改めてご案内させていただきます。

他の事業につきまして

 2月にボニファシオグローバルシティに、レーシックに特化したクリニックを開設いたします。この場所は、外資系金融機関の拠点や主要企業の本社が移転してきている最新の商業地域で、最新の手術機器を利用したプレミアムサービスを提供する予定です。

 他の事業につきましても、ニッチな市場を追求したユニークなサービスの提供を今後とも進めてまいります。

 株主・投資家のみなさまにおかれましては、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2020年1月
株式会社アイ・ピー・エス
代表取締役 宮下 幸治