ご挨拶 株主の皆さまへ
CEO Message to Shareholders
新国際海底ケーブル「Candle」と Baler 陸揚局のプロジェクトが始動。国内では新サービス準備が進み、人間ドック・健診センターも単月黒字化を達成するなど、事業基盤が着実に広がっています。
株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
当事業年度上期は、国際通信事業においては、フィリピンにおいて地方の ISP 事業者を中心に、通信機器販売と回線提供を組み合わせたネットワーク構築サービスが大きく伸長しました。2023 年に完成したフィリピン国内海底ケーブル PDSCN と国際海底ケーブル C2C を組み合わせた当社の基幹ネットワークが全国に展開し、コネクタドン・ピノイ法の成立を背景に新規参入も見込まれる中で、顧客基盤はさらに広がりつつあります。
また、日本・フィリピン・シンガポールを結ぶ新たな国際海底ケーブル「Candle」について、コンソーシアム形式による共同建設を決定し、2028 年の商用利用開始に向けた準備を進めています。生成 AI やクラウド普及に伴うデータ通信需要の急増に応えるこの新しい基幹インフラは、国際通信事業における当社グループの事業基盤を一段と拡大する重要な投資です。さらに、ルソン島東岸の Baler では、Candle を含む最大 4 系統の国際海底ケーブルが接続可能となる陸揚局の整備を進めており、東側ルートを押さえる地理的優位性とオープンアクセス性により、当社の国際通信ビジネスにおける競争力を大きく高める戦略拠点となる見込みです。
国内通信事業では、相互接続に基づく網使用料が減少するなかでも、コールセンター事業者向けソリューションが堅調に推移し、事業全体として安定した収益を確保しました。AIエージェントやVoice AI を活用したオペレーター支援サービスの展開に加え、2026 年から開始予定の「0120」番号の自社サービス提供に向けた準備も進めております。一方で、足元では、当社の想定し得ない用途で当社提供番号が利用され、発信者番号が偽装表示される事象が確認されました。結果として当社側の設定に不備があり、本事象の判明後速やかに是正措置を講じるとともに、原因の徹底的な究明および再発防止策の実施を進めております。
メディカル&ヘルスケア事業では、レーシックは厳しい競争環境が続くなかでも、マーケティング施策や金融機関とのタイアップ等を進め、底堅く推移しました。日本品質の人間ドック・健診サービスはフィリピン法人・個人のお客様の需要を着実に取り込み、単月ベースの黒字化を達成しました。今後も予防医療の普及と品質向上に努めてまいります。
今期も株主還元として中間配当を実施し、1株当たり20円といたします。期初にお示しした方針に基づき、成長投資を優先しつつ、配当水準は据え置きとし、安定した株主還元を継続してまいります。
当社グループは、通信およびメディカル&ヘルスケアといった社会インフラを支える事業を担う企業として、その責任と重要性をあらためて深く認識しております。企業理念である「OPEN DOOR」のもと、安全性・信頼性の確保を最優先に、より良い社会の実現に向けて事業基盤の一層の強化に取り組んでまいります。株主の皆様には、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2025年12月 吉日
代表取締役 宮下 幸治

当期の実績
Financial Highlights
主力の国際通信事業は、 ISP事業者向けネットワーク構築サービスが伸長し売上高は増収となりました。一方で、前年同期に機器販売を伴う大型案件があった反動もあり、営業利益は概ね前年並みの水準で推移しました。
国内通信事業は、相互接続に基づく網使用料の減少により減収となりましたが、コールセンター事業者向けサービスが堅調で、営業利益は増益となりました。メディカル&ヘルスケア事業も、人間ドック・健診サービスが着実に拡大し、増収に加えて営業損失の縮小が進みました。
この結果、当上期の売上高は 7,854 百万円、営業利益は 2,351 百万円と増収増益となり、経常利益 2,314 百万円、親会社株主に帰属する当期純利益 1,607 百万円と大幅な増益を確保しました。

[ Special Feature ]
特集
新国際海底ケーブル「Candle」とBaler陸揚局
国際通信事業
Global Telecommunications
Candle Submarine Cable System:AI時代の基幹インフラへ
当社グループが共同で建設を進める新国際海底ケーブル「Candle」は、日本・フィリピン・シンガポールを結び、アジア太平洋地域の大容量通信需要に応える次世代インフラとして期待されています。生成AI、クラウド、データセンター需要が急増するなか、長距離の大容量通信を安定的に提供する海底ケーブルの重要性は一段と高まっています。
Candle は 24 ファイバーペアを備え、既存の国際ケーブル C2C と組み合わせることで、日本とフィリピンを中心に、複数地域を結ぶ冗長性の高いネットワークを構築します。これにより、アジア域内のデータ流通の質と量が大きく向上し、当社の国際通信事業にとっても長期的な成長基盤となります。

Baler 陸揚局:オープンアクセスで拓くフィリピン東岸の戦略ハブ
Candle のフィリピンでのエントリーポイントとなるルソン島東岸の「Baler 陸揚局」は、当社グループが整備を進める次世代の国際通信ハブです。太平洋に面した Baler は地政学的に優位性の高い立地にあり、安定性・冗長性・拡張性の面で大きな強みを持ちます。Baler 陸揚局は最大 4 系統の国際海底ケーブルが接続可能となる設計で、Candle をはじめとする複数ルートが集積することで、国際通信のトラフィックを分散し、障害時にも迅速に迂回できる強靭なネットワークを構築します。また、当社グループは Baler において オープンアクセスの思想を導入します。特定の通信キャリアに限定することなく、多様なケーブル事業者・キャリアが公平・効率的に接続できる環境を整えます。

フィリピンのデジタル経済を支える新たな成長基盤
Candle および Baler 陸揚局の整備は、当社グループの成長だけでなく、フィリピンのデジタル経済にとっても重要な意味を持ちます。若年人口の拡大とともに、フィリピンでは高速通信インフラへの需要が急増しています。また、海外企業によるデジタル投資が活発化しており、安定した国際通信ルートは BPO、クラウド、AI 分野での競争力向上にも直結します。
今後は、これらの通信インフラを軸に、AI データセンターをはじめとする新たなデジタル・エコシステムの形成が期待されています。当社グループは、Candle と Baler を基盤に、フィリピンをアジアのデジタルハブへと押し上げるネットワークの構築を進めてまいります。
メディカル&ヘルスケア事業
Medical & Healthcare
レーシック、対応きめ細かく
当社グループがマニラ首都圏を中心に展開するレーシック(近視矯正手術)は、日本基準で安全性を最優先しており、ご好評をいただいてまいりました。幅広い年代の皆様に安心してご利用いただけるよう、サービスや価格体系もきめ細かく対応しています。ご希望に合わせた割引価格や現地金融機関と連携した分割払いの金利優遇などをご用意しているほか、お知り合いをご紹介いただいた方への優待制度も拡充しています。

SNS動画で若年層にアプローチ
フィリピンは平均年齢が約25歳と若く、人口は増え続けており、20~30代の若年層の方々にもアプローチできるようネット交流サイト(SNS)などの利用を広げています。FacebookやInstagramのショート動画などで検査や手術の内容をご案内しているほか、チャットでも随時お問い合わせに応じており、お一人お一人との丁寧なコミュニケーションを心がけています。レーシックを必要とされる皆様にご満足いただけるサービスの提供を続けてまいります。

人間ドック、定期健診で浸透図る
メディカル&ヘルスケア事業のもう一つの柱である人間ドック・健診センター(SDPCC)は、現地企業、日系企業を含む外資系企業、そして個人のお客様を中心に、定期健診ニーズの拡大を確実に捉えながら市場開拓を強化しています。
こうした取り組みの結果、同事業は単月黒字化を達成いたしました。SNSによる情報発信も活用しながら、最新設備を備えた日本基準の健診サービスの提供をさらに拡大していきます。フィリピンで高まる健康意識・予防意識のニーズに応えるとともに、病気の予防だけでなく健康寿命の延伸を目指す「予防医療」の浸透にも貢献してまいります。

国内通信事業
Domestic Telecommunications
AI×音声技術でコールセンター業務を高度化
コールセンターの業務効率化や応対品質の向上を支えるため、AI 技術を活用した新たなサービスの提供を開始しました。インドの先進 AI テクノロジー企業 Gnani Innovations 社とのライセンス契約を締結し、AIエージェントやVoice AI を活用したオペレーター支援サービスの展開を進めています。
本サービスは、99%を超える日本語音声認識精度や高速応答を実現するVoice AI技術を基盤とし、AIエージェントによるリアルタイム要約・提案や通話内容の解析に加えて、自動応答、音声認証など多様な機能をワンストップで提供します。
固定電話網 IP 化の進展や人材不足を背景に高まるデジタル化需要に対応し、AI を活用した音声サービスのラインアップ強化を進めてまいります。
※アイ・ピー・エス・プロはお客様のご要望にワンストップでお応えする通信サービスのトータルブランドとして「LIPSE(リプス)」を展開しております。
当社発番番号の不正利用(発信者番号偽装表示)に関して
当社グループの提供番号が想定し得ない用途で利用され、発信者番号が偽装表示される事象が確認されました。 結果として当社グループ側の設定に不備が確認され、判明後速やかに是正措置を講じるとともに、原因の徹底的な究明および再発防止策を進めております。通信サービスを提供する事業者として、安全性と信頼性を確保することは重要な責務であり、今後も管理体制の強化と適切な運営に取り組んでまいります。


