フィリピン通信業界の歴史と背景

フィリピン国内通信事業者「InfiniVAN, Inc.」概要

 当社は、2015年フィリピンでの国内通信事業に参画するために、InfiniVAN, Inc.に出資いたしました。  同社は、2017年11月からマニラ首都圏地域マカティ市において、法人向けに光インターネットサービスを提供しております。今後は、急速な開発が進むボニファシオ・グローバルシティなど、フィリピンを代表するCBD(Central Business District)でのサービス提供を行う計画です。 フィリピンは、アセアン主要国の中で、インターネットが最も遅くて高い国と言われております。そうした中、先進国並みの高速インターネットを、リーズナブルな料金で実現いたします。 サービス提供地域を拡大するために、同社では市街地に回線を敷設するほか、それぞれの商業地域を結ぶために、鉄道施設への回線の敷設、主要道路への回線の埋設を行っております。 同社では、埋設した回線を自社で利用するほか、他の通信事業者にも提供する、通信設備のシェアリングを実現し、早期の投資回収を図るモデルを採用しております。資力のある通信事業者が、過去に敷設したものを背景にして、他社の利用を断り、地位を安定させるのは、一つの手法ではありますが、フィリピンの通信環境の改善につながる方法とはいえません。従いまして、当社は、敷設した回線を、大手の通信事業者などに共用するユニークなキャリアとなることを予定しております。  また同社では、フィリピンの主要都市を結ぶリング状の回線を敷設し、各地のCATV事業者を結ぶことを計画しております。 各地のCATV(ケーブルテレビ)事業者は、その地域では、各家庭までのネットワークを構築しておりますが、その地域とマニラ・海外につながるネットワークを大手2通信事業者がおさえていたために、CATVが有するネットワークは、有線放送での利用に限られてきました。同社は、当社のマニラ拠点と地方都市を結ぶ回線を提供することで、各地のCATV事業者がそのネットワークを利用して、高速インターネットサービスを提供したり、4K・8Kといった高精度の動画配信を行うことができるようにして、CATV事業者のネットワークの可能性を大きく引き出すように努めてまいります。

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フィリピンの通信業界の変遷

固定電話の衰退

 インターネットの普及と携帯電話の普及により、固定電話のネットワークを保有して、国内・国際電話を提供していた事業者は、売上を得る機会がほとんどなくなりました。  フィリピンは、固定電話が多数の市内電話会社で提供されているので、数万世帯ぐらいしか提供していない電話会社が多く、携帯電話により、市内電話の需要がなくなったこと、長距離電話よりも携帯電話のほうが安くなることで、携帯電話に勝てなくなり、各地にあった市内電話事業者が事業を継続できなくなりました。(日本でいうNTT東日本や西日本の役割を、各市ごとに分かれた小規模で老朽化した設備の電話会社がやっているイメージです。)日本でも固定電話がない世帯も増え、NTT東日本・西日本(以下NTT地域会社)の電話事業は厳しい環境にあります。しかし一方光ファイバー網を広げ、フレッツの提供を通じて、各地域のブロードバンドサービスの土台を通信を担っております。しかしフィリピンでは、インターネットを家庭に引き込める世帯は限られているので、市内電話会社の電話のネットワークが、光ファイバー網に転換するというのは現実的ではありませんでした。そして後で述べる大手2社が、市内電話事業者も含めて、他社がインターネット接続サービスの提供をするのを難しくしていたので、こういった地方の市内電話事業者は厳しくなりました。

大手2社複占によるインターネット環境への影響

 このようにフィリピンは、市内電話と中継電話がもともと分離しており、多数の事業者があったのですが、中継電話事業を行う事業者の中から、携帯電話を提供する会社が出てきて、その後携帯電話事業者の統合が進み、結果としてマニラと地方・海外を結ぶ回線・携帯電話の全国ネットワークをもつのは大手2社だけとなり、フィリピンの通信市場は、事実上複占となりました。  しかし数社だけが通信サービスを提供する状況になっても、利用者保護の観点から料金を認可制にしたり、独占禁止法的な法律を整備して、より多くの事業者が残るようにするといった、先進国では普通の、国家による関与が、自由放任を旨としたフィリピンではほぼなされませんでした。そのため大手2社が、それほど大きな投資もしないまま、安定した市場のポジションに落ち着いていても、収益をあげるようなことできる状況が続きました。  そしてこの複占の状態がうみだしたものが、遅くて高いインターネットという問題でした。  フィリピンでは、大手2社のネットワークの下にあるサーバーに接続するためには、香港にある接続ポイントで接続しなければならないようにしました。本来フィリピン国内にあるサーバーと同じく国内にあるサーバーを結ぶのであれば、国内で両方のネットワークを接続してトラフィックのやり取りをすれば足ります。しかし両社は香港やシンガポールでしかフィリピンあての通信を接続できないようにして、フィリピン国内のインターネット接続サービスプロバイダー(ISP)は、国際回線の仕入れが必要としてきました。 確かに海外からマニラまで行く回線の料金が高いことなどを考えると、海外の通信事業者にとっては、香港でトラフィックを渡せばよいので効率的とはいえます。 しかしフィリピンでISPを提供するには、いったん香港までいかないといけない形になるので、ISPを提供する通信事業者やCATVは、香港まで行く国際通信回線を取得する必要があります。その上、大手2社がすべての国際海底ケーブルを陸揚げしているので、事実上2社でしか香港までのルートを提供できません。  こうした中、インターネットによるコミュニケーションが主流になり、また有料放送の視聴が減っている中で、米国のCATV事業者は、既設のケーブルを利用したブロードバンドサービスを収益の柱に転換していきました。そのため各地のCATV事業者は、ブロードバンドサービスを提供するようになります。  一方フィリピンのCATV事業者は、同様にブロードバンドサービスを提供しようとしても、大手2社に頼らず、香港までたどり着くことができないので、大手2社からしか仕入れることができない状態が続きました。リテールのマーケットで優位な立場でいようとする大手2社が、格安な料金でCATV事業者に卸提供することは、長い間競争法制が整備されていない自由放任のもとでは、期待できません。(最近になって競争法が整備) 日本のようにNTT東西殿が敷設した光ファイバーが、通信事業者に解放されており、また自由に国内のIXと接続してISPができる環境ではなく、大手2社だけが、大きな収益を上げることができる市場となっていました。  これは法人向けのサービスも同じことで、法人向けのブロードバンドサービスを提供する中小の通信事業者はいくつかあり、マニラ首都圏地域内などの国内区間の回線は自社で保有しているものの、海外につながるルートを大手2社におさえられています。国際区間の料金が高いため、国内区間だけ自社で持つだけでは、十分な競争力を持つには至らず、大手2社よりもわずかに安いということになっております。  フィリピン国内で接続できるトラフィック量は限られ、大部分がフィリピンの外でインターネット網と接続するという構造的な高コスト体質と、海外に出るための回線が、すべて大手2社が関与するという複占の状況も重なって、フィリピンのインターネットは高くて遅いといわれるようになっております。特に、フィリピンでは、コールセンターやソフトウェア開発などのBPO、オンライン英会話などが重要な産業となっており、他国との競争上、インターネットのコストが重要な意味をもっています。そこでインターネット料金の引き下げや品質向上が、政治家のマニフェストに書かれるようになり、現在の2社体制をどうすべきなのかが議論されるに至りました。(結果として、2018年に政府主導でもう一つの携帯電話会社を作ることになり、現在営業準備中です。)

インターネットとBPOの関係

 日本は、光ファイバーが将来収益の柱になることがわかってきた1990年代、電力会社が通信事業に参入し、電柱を共用して光ファイバーを敷設していきました。またソフトバンク殿が、NTTの地域会社のメタルケーブルを借りて、ADSLを提供して、ブロードバンドの普及を大きく進めたほか、その後NTT地域会社のフレッツ網が整備されました。総務大臣の認可の下で、料金が定められており、適正利潤以上の料金が取れないようになっています。さらにほかの事業者が空いている光ファイバーを、格安で借りることができる制度もあり、NTT地域会社が高速インターネットの普及に果たした役割は大きく、日本は今でも先進国の中でも、かなり安い料金でインターネットができる国と言われております。  これに対してフィリピンでは、日本で安いと言っている料金もまだまだ受け入れられる世帯は少なく、光ファイバーをきめ細かく敷設して収益を上げるというモデルは難しく、なかなか光ファイバーは普及しないという問題がありました。(ただ各家庭への引き込みの回線はメタルケーブルが中心な国(フランスなど)、光ファイバーが普及していないことはおかしなことではありません。)  ただフィリピンで、通信のコストが高いことが問題になるのは、フィリピンの主要な産業がBPOであり、BPOにとっては、通信コストが競争力に直接かかわるからです。BPOの種類にはいろいろありますが、フィリピンで代表的なのは、コールセンター業務です。アメリカやイギリスで、お客様問い合わせの電話番号や注文用の電話番号にかけると、国内の電話番号に掛けているのに、アメリカやイギリスで電話を取っているのではなく、フィリピンで取っているのです。  当初は、1990年台後半、インターネットで通話を転送する技術がうまれたとき、若者の失業率が高くかつ英語力があることで、フィリピンが注目され、多くの企業がフィリピンのコールセンター会社に業務を委託しました。  ただコールセンターが集まってくると、人材が不足して人件費が上がってくるし、BPOが事業となることが分かった南アジアやアフリカなど、他の公用語が英語の国でもインターネットを使ったコールセンターができるようになり、他国との競争が生まれてきました。BPOの国際競争力を高めるためには、人件費だけが問題ではなく、通信コストが下げないといけない。それなのに大手2社の料金は下がらない。そういう状況にあったからこそ、インターネット料金の高さや品質が、政治問題になり、ほかに競合を作らないといけないといったことが真剣に議論されるに至りました。そこで現政権は、中国資本の通信事業者が加わったコンソーシアムに、4Gの携帯電話の周波数を割り当て、フィリピン全土で通信事業を行わせようとしております。

当社フィリピン通信事業の沿革と今後

IPSが海外通信事業を開始した理由1:国際電話事業との関わり

 当社は、1998年、郵政省に特別第2種電気通信事業者として登録を受けて以来、主として在留フィリピン人向けに国際電話用プリペイドカードを販売し、ピーク時には日本から発信されるフィリピン向け国際電話のおよそ半分を当社が取り扱い、日本と香港で集めた国際電話トラフィックの多くを、香港などにあるフィリピンの通信事業者の拠点で渡しておりました。日本の大手事業者よりもきめ細かく地方の通信事業者とも協定を締結していたことや、その後日本では第1種電気通信事業者(今の登録事業者)の地位を承継したことで、当社はフィリピンの通信業界では、フィリピンに特化した国際通信事業者として知られております。また当社の国際電話取り扱いの最盛期に、窓口になっていた方が、現在では各社で権限を持つポジションにつかれております。これが、小規模でありながらも、当社グループが、フィリピンで通信事業を営むことができる大きな理由です。また人の縁がない他国で、同様の事業を展開しようとしない理由でもあります。

IPSが海外通信事業を開始した理由2:CATV事業者との関わり

インターネットの登場

 Skypeなどの普及により、世界各地からフィリピン向けの国際電話の需要は激減する一方、インターネットは普及していきました。フィリピンの各家庭にインターネットが引き込まれていくのは、最近のことで、10年ぐらい前は、所得水準がまだまだ低かったことと月額利用料が高かったこともあり、ネットカフェが各地にあり、時間を決めて、ネットカフェに行って、一度に世界中で働いている親戚などとビデオチャットする光景が見られました。これはスマートフォンが出て、インターネットがWi-Fi経由になるまで、タイなど東南アジア全般でそうした状況が続きました。しかし中古・中国ブランドの格安スマートフォンが流通しWi-Fiが飲食店の集客手段になり、さらに大手キャリアが動画配信サイト(OTT)の有料サービスとバンドルを始めたことで、インターネットを見る方法が多様化するとともに手軽になり、インターネットが生活に占める割合が非常に大きくなりました。CATV事業者の視点で見れば、娯楽、報道など放送のもつ意味があまりなくなり、放送からインターネットへの流れが進みました。  日本では、はじめはISDNの深夜かけ放題サービス、その後はソフトバンク殿のADSL、そしてISP各社のフレッツとなり、日本は、常に先進国の中でも、かなり格安で品質の高いISPサービスを受けられる環境にありました。  それに比べると、フィリピンは料金も高く、中間層の所得が大きく上がりだしたのは最近ということもあり、自宅のPCで、月額でインターネットサービスを利用できる世帯は少なかったです。最近他社の数字から見ると、急増していることがわかりますが、10年前はネットカフェで回線をシェアしているのが実際であり、インターネットを自宅で行っている方はそれほどいませんでした。

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CATV事業者がインターネットマーケットに参入

 このインターネットを自宅でできるという小さいマーケットをどこがとるかということですが、各家庭にすでに回線を持っていて料金回収ができるところが有利で、市内通信をやっている通信事業者、ブロードバンド回線を敷設して提供できる大手通信事業者、そしてCATV事業者ということになります。  フィリピンの宗主国である米国は、難視聴地域が多いことから、CATVが普及しており、インターネットの商用サービスが始まった当初から、放送用のケーブルを利用したインターネット接続サービスを開始していました。 米国では、インターネット接続サービスを、通信事業者の回線でやるのか、CATV事業者の回線でやるのか、結局電話も放送もインターネットも1本の回線があればできるということで、通信事業者と放送事業者がお互いに買収・スピンアウトを繰り返しました。結果としてCATV事業者によるインターネット接続が市場の中心となり(6割以上)、またテレビ離れの中、ブロードバンドサービスだけの会員が半分以上になった大手CATV事業者が出現したりしています。 しかしCATV事業者に対する通信事業者の反撃として、Verizon社が5Gのサービスを2018年に発表するなど、CATVが優位の市場の状況は今後どのような展開を辿るのか予断を許しません。同軸ケーブルか光ケーブルか(後者のほうが早い)、有線か無線かといったことに加えて、料金や速度などいろいろなファクターが加わり、消費者の選択肢も増えました。  そしてフィリピンも、米国に近い放送行政が行われていたこともあって、難視聴地域が多く、富裕層の居住地域をカバーするCATV事業者が、インターネット接続サービスが開始した直後から普及していきました。その流れからするとCATV事業者がその持っているケーブルを利用してインターネットサービスを展開するのが普通で、多くの事業者が提供しております。しかし米国と異なり、仕入れを競合する現地大手通信事業者に依存しているので、十分な競争力がなく、CATV事業者に競争力を与えるところに商機がありました。 そこで当社は、CATV事業者向けの国際通信回線サービスを開始して、より高速な通信ができるようにしてきました。 CATVも通信も、ほぼ同じ回線を使ってサービス提供をしており、その2つのサービスのいずれかのサービスを受けても大差がないから、これまでどちらの回線が引き込まれているかがポイントであったわけで、あまり競争が生じていませんでした。 しかし上記のとおり、大手通信事業者のサービスは多様化しており、大手電気通信事業者の「Home Broadband」の収益は、ここ2年程大きく伸びております。当社グループは、CATV事業者のブロードバンドサービスの競争力強化のために、香港・シンガポールを結ぶ海底ケーブルを活用して、高速のブロードバンドサービスの卸を行ってまいります。

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海外通信事業の展開からInfiniVAN,Inc.の免許取得まで

CATV事業者へサービスを提供開始

 当社は、当初香港―マニラ間の国際通信回線を、香港で取得し、それをフィリピンの通信事業者と提携して販売することを考えましたが、当初はニーズがどこにあるかわからずあまり売れていきませんでした。  そうした中で、米国ではCATV事業者がISPを主要事業にしていること、フィリピンでは大手2社からCATV事業者に卸される料金が非常に高く、そのため大手2社のリテール向けサービスとの競争が十分にできていないことに着目し、CATV事業者向けに提供を開始しました。同じ容量の回線でも、香港で買うのとマニラで買うのでは料金が全く違うことから、15年の使用権を香港で取得して、それを細分化してCATV事業者に販売し、2014年にはマニラにある17社の事業者すべてと取引を行うに至り、CATVのブロードバンドサービスも十分競争力があるビジネスとなりました。しかし当社の提携しているフィリピンの通信事業者は、マニラとその周辺にしか回線を持たず、それ以外の地域にあるCATV事業者にはサービスを提供できませんでした。

海外通信事業拡大のための免許取得へ

 当社の海外通信事業をさらに拡大させるには、自社で、大手2社しか提供できない地域に回線を広げて、CATV事業者と接続できるようにする必要があるものの、そのためにはフィリピンに法人を立ち上げ、通信事業に必要な免許を取得させる必要がありました。  当社は、1995年、フィリピン人の投資家を募り、InfiniVAN,Inc.を設立し、同社は、InfiniVAN,Inc.に通信事業の特許(フランチャイズ)をあたえるBill(法案)を作成して国会に提出。1年以上かかって、2016年アキノ政権の終了間際に、この法律(共和国法10898号)が制定されました。 そして2017年国家通信委員会が同社の事業者適格を認めるかどうかの手続きに入り、過当競争になるといった競合他社からの反論が続く中で、公聴会が終了し、事業者適格の仮免許が、国家通信委員会より与えられました。その後仮免許が定める出資義務を履行し、その後更新されています。

CATV事業者と協同で事業を展開

 InfiniVAN,Inc.に対するフランチャイズの法律は、CATV事業者の業界団体の活動を通じて、多くのCATV事業者の支援を得られたこと、インターネットが高くて遅いのをなんとかしないといけないと考えていた当時の上院議員などに支持されて通過しました。 こうしたフランチャイズ取得の経緯もあり、当社およびInfiniVAN,Inc.は、CATV事業者と共存した形での事業運営を志向しており、両社は、CATV事業者によるブロードバンドサービスに必要なインターネット卸、国際通信回線の卸提供、あとリテールマーケットは、CATV事業者と競合しないことを事業方針としております。そしてCATV事業者は長年当社の顧客であったことから、CATV事業者との取引は、なるべく当社が加わり、収益の一部が海外通信事業として入るようにし、それ以外のフィリピン国内の通信事業は、同社が行うという形をとっております。  そしてInfiniVAN,Inc.は、共和国法10898号によれば、フィリピン国内・国際の通信事業(固定通信・無線通信)ができることになっており、基本的にはすべての事業を行うことができることになっております。  ただ国家通信委員会の事業者適格としては、事業の種類が「Broadband」と定められております。そのためフランチャイズで定められた範囲よりは狭く、従来の電話はできませんが、固定通信に限定はなく、一定の無線通信は可能になっております。(携帯通信は、電話の機能がない携帯電話がまだイメージできないので難しいと理解しております。)Wi-Fiルーターに、5Gによる通信機能が内蔵された機器を使った、5GのFixedwirelessサービスは実用化しており、当社グループでも検討をしております。

InfiniVANの事業と展開

法人向けインターネットサービス

 通信事業のフランチャイズを取得したInfiniVANは、マニラの代表的な都心部である、マカティ市で法人向けブロードバンドサービスを提供。大手キャリアの半額程度の料金設定・積極的な営業要員による大手キャリアからのリプレイスを通じて、顧客数を増やしております。  フィリピンには、ほかにも6つほどのCBD(Central Business District中央商業集積地)があり、このエリアに拡大することを計画しております。そのためには、そのCBDの中にあるビルに複数のルートでアプローチできる回線ネットワークを敷設することが必要になりますが、渋滞しているところも多く網の目に回線を地下に敷設していくことは容易ではありません。現在代表的な都市であるMakati市とOrtigas センターなどで、回線の敷設工事を進めております。  またCBDとInfiniVANの拠点であるMakati市を複数経路で結ぶこと、できれば環状のルートを作ることは、最近の道路事情を考慮すると非常に難しくなっているという問題があります。  そのためInfiniVAN,Inc.は、LRT-2号線、MRT-3号線といった鉄道に光ファイバー回線を敷設して、各CBDとMakatiを接続できるようになりました。またEDSA・C5など主要な幹線道路については、他の事業者のコンソーシアムに参加してファイバーを敷設しております こうした各拠点を結ぶ回線が開通し、その地域内でも複数のルートが確保できるようになると、サービスは安定してきます。フィッシュボーンではない、法人ユーズに適した料金に見合ったサービスが提供できると確信しております。

InfiniVANのこれから

当社グループでは、CATV向けの国際通信回線の提供事業の適用エリアを拡大することと、国際通信回線を自社で運用することを目指しております。 CATVのネットワークは、通信事業者のネットワークとポテンシャルとしてはほぼ同一と考えられるものの、これまで中継区間が複占になっていために、各家庭に引き込まれていることからくる潜在的な能力が十分に生かされてきませんでした。 放送離れが言われており、実際放送視聴者の数が減少しているところも多いのですが、光ファイバーを各戸に引き込んでいる場合は、大手通信事業者がまだ多くの地域で提供されていないFTTHのサービスを提供しているわけで、ケーブルテレビのネットワーク外の回線の品質に大きく影響されます。 FTTHになっていないところについては、日本でいうローカル5Gと同様の無線高速通信サービスを提供することを構想しております。 当社では、これまでマニラとその周辺でのみ提供していたCATV事業者向け通信サービスを他のエリアを提供できるように大手通信事業者と協議を行い、提供をしたケースもありますが、区間によっては、大手通信事業者のネットワークを借りても十分な速度が出ないなどの問題に直面しましたので、2019年より、ミンダナオ島で、2000キロ以上のネットワークをCATV事業者と協働して構築することといたしました。 またこのような地元の事業者と提携して、ビサヤ地区(セブ島などがあるフィリピン中部)のパナイ島などでも建設作業中です。 将来的には、マニラまでつながる経路を建設し、こうした地域からマニラ経由で海外のサイトに高速で通信できるようにすることを構想しております。

マニラ-香港間、マニラ-シンガポール間の自社高速回線構築

 当社では、アジア各地を結ぶ国際海底ケーブルの一部を取得し、香港-マニラ、シンガポール-マニラ間の国際通信回線を開通させる計画です。 この海底ケーブルの取得の交渉は、香港-マニラ線をCATVに提供を開始して間もなくの2013年に開始。回線のオーナーが途中で変わり、フィリピン国内での事業者などの調整も経て、7年近くかかって取得いたしました。  当社が取得しているのは、一対の光ファイバー。光ファイバーを取得すると、光ファイバーにどういう波長を流すか(伝送装置)などにより、通信の容量は決まります。例えば太平洋横断ルートでは、光ファイバー1対あたりの通信容量は、20年で約2000倍にまで拡大。今後も速度は速くなることが予想されるので、随時機器を増設・更新して通信容量を拡大させていきます。  2017年に香港-マニラ間の回線を新設することを計画したときは、施工金額の高さもネックでしたが、それ以上の問題は、中国本土や香港の規制が複雑で、すでに回線工事が中断しているケースが多かったこと。また領有権に争いのある地域を通過するなど、完工リスクが大きく、この区間の新設は、断念いたしました。 ただこの区間は、需要が集中する区間ですので、適切な時期が来ましたら、新設を含めた増設も検討する予定です。

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IPS, Inc.